パソコンゲームの解説、感想集[廃虚碑文]
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公開日:2004-11-20 | ページ表示数:3761回

シンフォニック=レイン(一般)

発売日:2004-03-26
原画:しろ シナリオ:Q’tron
シナリオ:7 グラフィック:7 システム:8 総合:7
長所:完成度  短所:ありきたり
種類:W_??
恋愛SLG+リズムアクション。故郷に恋人を残す主人公は音楽学園の生徒。いつも雨の降る町で主人公は主人公にしか見えない音の妖精と同居している。そんな彼は卒業演奏のためにパートナーを探していた。いつも世話を焼いてくれる恋人の双子の妹や旧校舎で隠れるように歌う少女、元生徒会長のよく気が付く少女を相手に選ぶ。彼女らに引かれていきながら、恋人への想いに思い悩む。各々のキャラクターが主人公を中心にした思惑を持っている、総じてオタク的な残酷さに満ちた作品になっている。だが、一番の特徴は音楽に重きを置いている事。ヒロインにはそれぞれストーリー展開を予想させるテーマソングがある。その歌に合わせる、リズムアクション(流れる音符と対応するキーをタイミングよく叩く)が挿入される。難易度設定や自動演奏もあるのでプレーの障害にはならず、上手く参加感を高めてくれる。絵は可も無く不可も無く。儚げなゲームの雰囲気には良くあっていたと思う。プレー時間が20時間程度掛かる割には、40枚と少なくただ単調に主人公の悩みと恋愛模様を見せられていたような気がする。「Rainy Blue ~6月の雨~」に非常に良く似た設定だが出来は月とすっぽん。一般作品である事も関係するが、声優も音楽もストーリーも全く問題ない出来だ。これでもう少し独自色があればと思うと悔しいが、良く出来た秀作。さて、ストーリー命なので、簡単に切り上げる。(岡崎律子さんの遺作だそうで、別に好きでもないが味はある。担当した作品の中では「プリンセスチュチュ」が一番好き。)(声優が同じなので、フォーニの声を聞いているとどうしても「プリンセスメーカー2」を思い出してしまう。)(以下ネタばれ、ヒロインごとにかなりストーリー展開が違うが要するに、これはアリエッタとの純愛の物語なのだろうか。そうとでも考えなければ他のエンディングがあまりに悲しすぎる理由が分からない。他のヒロインを選ぶのは間違った選択で主人公が本当に幸せになれるのはアリエッタとだけ、せいぜいトルティニタともその可能性がある程度か。リセルシアもファルシータもあまり幸せとは言えないエンディング。リセルシアは彼女の父親への主人公の評価がころころ変わり落ち着かない。彼が良い音楽を奏でる事が出来るのは狂気のせいなのか。かなりの理不尽さと主人公の無力さは当時のアリエッタと重ねるためなのか。最後にトルティニタが言った贖罪というのはきっとそういう意味なのだろう。ファルシータは最後の最後で我慢しきれなくなって、自分の本当の姿・・・と彼女が信じている姿を主人公に見せ、それでも愛を求めるという定番の展開が少し気になる。主人公がもう少し前向きなら十分にハッピーエンドなのだが、どうも悲しさが漂ってしまっている。幸せのために良い子でいる。周りの人々は利用するだけ。不幸のどんぞこの人が持ちそうだと思われている一般的な考え方だと思う。とはいえ、どう見ても彼女がそう思い込んでいるだけで実はやさしい良い子のようにしか見えない。施設から帰ってきた時にだけ、彼女の歌に欠けていた物が戻ったのはなぜだろうか、施設に行きたがらないのはなぜだろう。彼女は自分を悪人だと思い、罪悪感を感じているように思う。トルティニタもそうだが、これも作品のテーマなのだろう。トルティニタの場合は罪悪感の根拠が少し弱いが、まぁ気にしない。最初のトルティニタのストーリーはなにが起きているのか良く分からない内に終わってしまうが、彼女サイドの物語はこれ以上ないくらいに良く分かる。どろどろとした感情を前面に出した残酷さがあるが、それでも一線を越えない生暖かさがオタク的と言えると思う。全体を見渡して、その残酷なストーリー、主人公と双子の間に散らばったいくつもの仕掛けそんなものが印象的だった。良い子と言われたヒロインは問題を抱えている、反面リセルシアやアリエッタは純真無垢な天使のように描かれている。ちぐはぐな印象だ。それはいいとして、理屈不在のフォーニの存在がなかったら成り立たない物語なのは間違いない、マスコット効果は絶大だ。

©工画堂(くろねこさんちーむ)/シンフォニック=レイン(持ち出し厳禁)
©工画堂(くろねこさんちーむ)(コウガドウ)/シンフォニック=レイン(シンフォニックレイン)
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